韓国科学技術院(KAIST)は1月17日、電気工学部(School of Electrical Engineering)のチェ・シンヒョン(Choi Shinhyun)教授とユン・ヨンギュ(Yoon Young-Gyu)教授の共同研究チームが、自ら学習してエラーを修正できる次世代ニューロモーフィック半導体ベースの超小型コンピューティングチップを開発したと発表した。この研究成果は、学術誌Nature Electronicsのオンライン版に掲載された。
ユン・ヨンギュ(Yoon Young-Gyu)教授(左)、チェ・シンヒョン(Choi Shinhyun)教授(右上・囲み内)と共同研究チームメンバーら
(出典:KAIST)
既存のコンピューティングシステムは、データ処理装置とストレージ装置が別々であるため、AIのような複雑なデータ処理を効率的にこなすことができない。研究チームは、抵抗値の変化を精密に制御できる信頼性の高いメモリスタ(memristor)を設計した。メモリスタの可変抵抗特性は、ニューラルネットワークにおいてシナプスが果たす役割に相当し、これを利用することで、人間の脳細胞のように、データの保存と計算を同時に実行することが可能になる。
研究チームは、このメモリスタを搭載したコンピューティングチップが、既存のニューロモーフィックデバイスでは解決が難しかった非理想的な特性によって発生するエラーを学習し、修正できることを実証した。例えば、ビデオストリームを処理する際、このチップは動いている物体を背景から自動的に分離することを学習し、その結果、徐々にこのタスクの処理が向上する。リアルタイムの画像処理では、理想的なコンピューターシミュレーションに匹敵する精度を達成した。
この技術は、クラウドサーバーに頼らずに不審な行動を即座に認識できるスマートセキュリティカメラや健康データのリアルタイム分析を可能にする医療機器など、さまざまな機器への応用が期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部