2025年03月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2025年03月

回答精度の高いリーガルAI技術を開発 韓国GIST

韓国の光州科学技術院(GIST)は2月28日、電気工学・コンピューターサイエンス学科(School of Electrical Engineering and Computer Science)のイ・フンノ(Lee Heung-No)教授率いる研究チームが、従来技術に比べ法律文書の検索・回答精度が23%高い人工知能(AI)技術を開発したと発表した。この研究成果は、学術誌IEEE Accessに掲載された。

法律分野でもAIは急速に普及しつつあるが、学習データに基づいて回答を生成する大規模言語モデル(LLM)ベースのリーガルAIシステムの場合、AIが誤情報を生成する「ハルシネーション(幻覚)」率は58~82%と報告されている。そこで、予め用意されたデータベースや文書からAIが自ら必要な情報を検索して回答を生成するRAG(検索拡張生成)技術が最近注目されている。しかし、既存のRAG手法は、情報検索能力や法律分野への適用という点で限界があった。

この問題を解決するため、研究チームは、法律データを効率的に検索・活用して回答の信頼性と精度を高める「Legal Query RAG(LQ-RAG)」モデルを開発した。このモデルは、さまざまな法律テキストを利用して、埋め込み生成LLMと回答生成LLMの微調整を行った。また、大量の判例・法令データの学習を通じ、専門的な法律用語や文書構造を深く理解することが可能となり、実際の法律分野のQ&Aデータに基づく生成モデルの再学習によって回答能力が向上した。

LQ-RAGを適用した結果、既存のRAGシステムと比較して法律文書の検索・回答精度が23%向上し、微調整したLLMと比較しても、14%高い性能を記録した。

研究チームは今後、契約書の起草やコンプライアンス監視などの法律実務の効率化を図るため、エージェントベースの法務ワークフローの開発に取り組む計画である。イ教授は、「RAGとマルチエージェントコラボレーション技術を組み合わせることで、信頼性の高いリーガルAIシステムを構築していきます」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る