2025年04月
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医療費の増加と健康改善の相関関係を解明 韓国・高麗大学校

韓国の高麗大学校(Korea University)は3月13日、保健政策・管理学科(Division of Health Policy and Management)のパク・ソンチョル(Park Sung-chul)教授率いる研究チームが、韓国における医療費の増加と健康改善の相関関係を解明したと発表した。この研究成果は、学術誌JAMA Health Forumに掲載された。

研究によると、韓国の医療費は2010年の550億ドルから2019年には920億ドルへと約67%増加した。医療費増加の要因としては、高齢化(35%)と人口増加(11%)もあったが、最大の原因は一人当たり医療費の増加であることが判明した。

健康アウトカムの変化を評価するために、障害調整生存年(Disability-adjusted Life Year:DALY、早期死亡や障害によって失われた健康寿命の年数を指す)を分析した結果、社会全体の疾病負担が約7%増加したことが分かった。この増加は主に高齢化と人口増加によるものだった。一方、一人当たりの疾病負担は233%減少し、個人の健康状態が大幅に改善したことを示唆している。

これらの結果をベースに、研究チームは、人口構造の変化に応じた調整を加えた。その結果、韓国の一人当たりの医療費は増加する一方、一人当たりの疾病負担は減少していることが明らかになった。さらに、健康改善アウトカムの半分が医療費の増加で説明できると仮定すると、障害調整生存年1年あたり平均2万ドルが必要であることがわかった。

パク教授は、「この研究結果は、米国を除く主要先進国と比較した場合、韓国の医療費がコストに比べて高い効果を達成していることを示唆しています」と述べる一方、急速な高齢化に備えて具体的な政策の見直しが必要と指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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