2025年06月
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人間とロボットが感覚を共有、新技術を共同開発 韓国GISTと米国MIT

韓国の光州科学技術大学院(GIST)は5月、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)との共同研究により、ロボットが受けた物理的な力を人間の腕にリアルタイムで伝える新しいハプティック(触覚)システム「TelePulse」を開発したと発表した。

本研究は、GIST AI融合学部のキム・スンジュン(SeungJun Kim)教授と、MITコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究チームによる共同成果である。TelePulseは、電気筋刺激(EMS)と生体力学シミュレーションを組み合わせ、リモート操作中のロボットアームが感じた力を、VR環境下の操作者の腕に正確に伝える双方向の遠隔操作システムである。従来のEMS技術では困難だった筋肉への精密な刺激制御を、ユーザーの姿勢や関節位置に応じてリアルタイムで調整可能とした点が革新的とされる。

実験では、仮想産業現場での研磨や木への穴あけ作業を通じ、TelePulse使用者が非使用者に比べて力の制御精度や作業の一貫性において有意な向上を示した。特に研磨作業では平均絶対誤差(MAE)を大幅に削減し、木への穴あけ作業でも失敗率が低下した。参加者は「ロボットと感覚を共有しているようだ」と述べ、没入感の向上も数値的に確認された。

この技術は、従来の大型・複雑なハプティック機器とは異なり、軽量かつ装着性に優れ、遠隔作業、遠隔手術、災害救助、宇宙探査など幅広い分野での活用が期待されている。

キム教授は「TelePulseは、単なる機械操作を超えて、人間とロボットが感覚を共有する時代の幕開けを象徴する技術です」と語っており、今後は遠隔協働や訓練、リハビリ分野での応用も視野に入れている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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