2025年07月
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特定授業に最適化、仮想ティーチングアシスタントを開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は6月5日、同院の研究チームが、仮想ティーチングアシスタント(VTA)を開発し、477人の学生が参加する大人数のコースの学習と授業運営への導入に成功したことを発表した。

チェ・ユンジェ教授(右)、ホン・ファジョン教授(右から2人目)と研究チームメンバー

KAISTのチェ・ユンジェ (Yoonjae Choi)教授とホン・ファジョン (Hwajeong Hong)教授が率いる研究チームが開発したVTAは、講義スライド、コーディング課題、講義映像といった教材をベースに、学生の質問に24時間体制で回答するAIシステムである。ChatGPTのような汎用ツールとは異なり、特定授業に最適化された検索拡張生成(RAG)構造を採用している。2024年秋学期に実施されたAIプログラミングコースにおいて運用し、実際の教育現場での有効性と実用性の評価が行われた。

このシステムの導入により、人間のTAによる対応が必要な質問は前年比で約40%減少した。一方で、特にAIに不慣れな学生や、質問をためらいがちな学生がVTAを積極的に利用したことで、全体の理解度や質問の質が向上したという。14週間にわたって運用されたVTAには合計3869件のQ&Aが記録された。

ティーチングアシスタント(TA)が学生にVTAの使い方を説明

VTAを使用する学生

学生のアンケート結果からは、時間の経過とともにVTAへの信頼度や使いやすさが高まったことが示された。特に以前は人間のTAに質問することをためらっていた学生はAI TAとのやり取りにおいてより高い満足度を示していた。

チェ教授は「この研究の意義はAI技術が学生と教員の双方に実践的な支援を提供できることを実証したことにあります。今後、この技術がより幅広いコースに普及していくことを期待しています」と語る。システムのソースコードはGitHubで公開され、他の教育機関による応用・展開も可能だ。

本コースで適用されるAI VTAの内部構造。講義資料(PDF、講義映像、コーディング課題など)からベクトルデータベースを構築し、学生の質問や会話履歴から関連資料を検索し、それに基づいて回答を生成するRAG(Retrieval-Augmented Generation)構造をとっている
(出典:いずれもKAIST)

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