2025年07月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2025年07月

固体中の量子距離の直接測定に世界で初めて成功 韓国

韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は6月13日、韓国の延世大学とソウル国立大学の共同研究チームが、固体中の電子の量子距離の直接測定に世界で初めて成功したと発表した。研究成果は学術誌Scienceに掲載された。

量子距離とは、2つの量子状態がどれほど似ているかを数値的に表す物理量で、値は同一の状態を表す0から、完全に異なる状態を表す1までの範囲をとる。この指標は、量子コンピューティングの精度評価や量子センシングにおける状態変化の追跡に不可欠であると考えられている。これまで世界中で量子距離の測定が試みられてきたが、間接的な手法にとどまっていた。

今回、ソウル国立大学のヤン・ボムジョン(Yang Bohm-Jung)教授が率いる理論チームと、延世大学のキム・グンス(Kim Keun-su)教授が率いる実験チームの長年の協力により、量子距離の直接的な測定に成功した。研究チームは、単純な結晶構造を持つ黒リンに着目した。理論チームは黒リンにおける量子距離は位相差によって支配されていることを突き止め、実験チームは角度分解光電子分光法(ARPES)で偏光を使用することで、信号強度が電子の位相差によって変化することを観察し、量子距離を正確に測定することができた。

両教授は「信頼性の高い量子技術には、正確な量子距離の測定が不可欠です。この研究は量子コンピューティング、センシング、そしてより広範な量子応用のための基礎ツールとなるでしょう」と述べた。本研究は、MSITの基礎研究プログラムの支援を受けて進められた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る