2025年08月
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使い捨てマスクのマイクロプラスチックが土壌生態系へ深刻な影響 韓国GIST

韓国の光州科学技術院(GIST)は7月10日、GISTの研究チームがドイツとブラジルの研究者らと共同で、廃棄された使い捨てマスクに含まれるマイクロプラスチックと化学添加物が、土壌生態系に深刻な影響を与えることを科学的に証明したと発表した。研究成果は科学誌Ecotoxicology and Environmental Safetyに掲載された。

本研究では、COVID-19パンデミック下で大量に使用・廃棄された使い捨てマスクが、分解後に放出するマイクロプラスチックと化学添加物が土壌生態系にどのような影響を及ぼすかを調査した。GIST環境・エネルギー工学科のキム・テヨン(Tae-Young Kim)教授を中心とする研究チームは、ドイツのベルリン自由大学、ブラジルのサンカルロス連邦大学、韓国の慶北国立大学と共同で、土壌線虫Caenorhabditis elegans (C. elegans) を用いた毒性評価を行った。

実験では、KF94、医療用、防じん用の3種のマスクと比較用のポリプロピレン原料を標準土壌に混合し、0.1%および0.3%の濃度でC. elegansの生殖と代謝への影響を調査した。その結果、KF94と防じんマスクでは、0.3%濃度で曝露された線虫の生殖能力がそれぞれ33%と46%低下するという有意な結果が得られた。一方、医療用マスクとポリプロピレン原料では有意な毒性は認められなかった。また、メタボロミクス解析により、線虫の代謝経路に変化が生じていることも明らかになった。KF94と防じんマスクに含まれるマイクロプラスチックはポリアミンの生合成経路を阻害していた。これらのマスクからはフタル酸エステルなどの化学添加物が検出された。これらの添加物が代謝障害と生殖能力の低下の一因である可能性が高いと研究チームは分析している。

同教授は「この研究は、使い捨てマスクから放出されるマイクロプラスチックとマスク製造工程で使用される化学添加物が土壌生物に及ぼす複雑な生物学的毒性を科学的に解明したものです。マスク廃棄物の長期的な環境影響を評価し、環境に優しいマスク材料と処理方法の開発が急務です」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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