韓国科学技術院(KAIST)は7月24日、同大学の研究者と国際的な共同研究チームが、免疫応答中に放出されるサイトカインが脳の感情回路に直接作用し、不安行動を調節することを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Cellに掲載された。

KAIST脳認知科学科のジョン・テ・クォン(Jeong-Tae Kwon)教授
KAIST脳認知科学科のジョン・テ・クォン(Jeong-Tae Kwon)教授らは、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学医学大学院(Harvard Medical School)と共同で、炎症性サイトカインのIL-17AとIL-17Cが、感情の調節を行う扁桃体の特定のニューロンに作用し、興奮性を高め不安を誘発する双方向の調節メカニズムの実験的証拠を示した。また、この逆の作用として、抗炎症性サイトカインIL-10が、偏桃体のニューロンの興奮性を抑制し、不安の軽減に寄与していることを示した。
研究チームは、マウスを用いた実験で、免疫療法(IL-17RA抗体)により皮膚の炎症が緩和される一方、不安レベルが逆説的に上昇することを観察した。これは、扁桃体ニューロンの過剰活性化につながるIL-17 ファミリーサイトカインの上昇に起因していた。

(出典:いずれもKAIST)
この研究は、感染症や炎症の免疫反応が、単純な身体反応を超えて、脳回路レベルで感情調節に直接影響を与えることを実証した初めての報告である。これは、脳内の同一ニューロンを通じて免疫や感情、行動を相互に結びつける生物学的メカニズムを提唱する画期的な成果である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部