韓国の高麗大学校(Korea University)は11月20日、同校の研究者らが、唾液を用いた頭頸部がんの非侵襲的早期診断を可能にする人工知能(AI)搭載のセンサープラットフォームを開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Scienceに掲載された。
頭頸部がんは、口腔、咽頭、喉頭に発生する悪性腫瘍のことであり、初期症状が軽微なため、多くの患者で発見が遅れる。これらの部位は生検や内視鏡検査が困難なことが多く、外科的処置を伴わない非侵襲的診断技術が求められている。
高麗大学校バイオ医工学部(School of Biomedical Engineering)のホ・サンジョン(Ho Sang Jung)教授と韓国カトリック大学ソウル聖母病院(Seoul St. Mary's Hospital)耳鼻科のパク・ジュノク(Jun-Ook Park)教授率いる研究チームは、韓国材料研究院(Korea Institute of Materials Science)と協力し、ラマン分光法を用いて唾液中の代謝物を分析し、個々の分子成分を特定するAIベースのデータ解析手法と統合した。研究チームはこのセンサーを活用し、がんの存在と進行を示す15の潜在的バイオマーカーを特定し、診断的価値だけでなく、腫瘍発生の生物学的メカニズムの重要な知見を得た。
また、この診断を行うための特筆すべき中核部位としてプラズモニックナノコーラル構造がある。グラフェン基板上のしわや欠陥部位に沿って自発的に金(Au)が形成されるナノコーラル構造は、強いプラズモン増強とヒトの唾液中に存在するものを含めた揮発性代謝物の選択的吸着を示す。研究チームはこれらの特性を用いて、唾液代謝物を精密で安定的に検出することを可能にした。
ホ教授は、「この研究は唾液代謝物の特性に基づいた頭頸部がんの非侵襲的早期診断のためのポイントオブケア・プラットフォームを提示しました。このアプローチは、さまざまな疾患の早期発見や新規バイオマーカーの発見に広く応用できると期待されます」と研究の意義を強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部