口蹄疫等の予防で世界の組織と提携して動物の健康をリード シドニーの獣医学者ら

シドニーの獣医学をリードする研究者たちは、近隣の太平洋島嶼国に対し、口蹄疫などの感染症の発生を防ぐための意識を広め、研修を行い、計画を立てている。

口蹄疫 (FMD) が36 年ぶりにインドネシアに再度入りこんだ。東南アジア地域で新たな発生となり、深刻な脅威となってきているため、オーストラリアの獣医学者は厳戒態勢を取っている。世界中の動物の健康と福祉を率先して進めるシドニー大学の取り組みの一環として、多くの研究者たちがWOAH(国際獣疫事務局)やFAO(国連食糧農業機関)などの国際機関と提携して活動し、近隣の太平洋島嶼国が病気に備える計画を支えている。

WOAH とオーストラリア政府の支援を受け、FNUと協力できることをうれしく思う

ジェニー・アン・トリビオ (Jenny-Ann Toribio) 准教授

ジェニー・アン・トリビオ准教授はWOAH とのパートナーシップのリーダーとして、フィジー国立大学 (FNU) 特別インターンシッププログラムを第2段階に進めようとしている。このパートナーシップでは、フィジーと太平洋地域の動物の健康と福祉の強化に貢献するために、FNUの40人の卒業生がトレーニング・スキルアップ・プログラムに参加する。アン・トリビオ氏は「FNUの卒業生は、生活を速やかに改善し、食の安全性を高め、新しい病気を早期に特定するために、熱意をもって家禽、豚、山羊、牛の病気の診断と治療を改善しようとしています」と話す。

太平洋諸島地域において越境動物疾病に対する備えの重要性を証明した

ビクトリア・ブルックス (Victoria Brookes) 博士

ビクトリア・ブルックス博士は、食糧農業機関が出資するプロジェクトを率い、新たな越境感染症に対する疾病監視と緊急対応の強化を行っている。彼女は、クック諸島、トンガ、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ、サモアなど、太平洋の多くの国々で仕事を行っている。

このプログラムは、これらの国々が感染性の高い動物疾病に迅速に対応する能力を高めることを目的としている。ブルックス博士と彼女のチームはギャップ分析を実施している。この分析法を使うことでさらにトレーニングが必要な箇所を理解することができ、その後、「トレーナー・トレーニング」スタイルのオンライン・プログラムを開発し、提供する。

ブルックス博士は「私たちの研究は、太平洋諸島地域において、栄養保障と社会経済保障を確保し、人々の生活を守るために、越境動物疾病に対する備えの重要性を証明しました」と強調する。

AMRの状況は、他の国から学べば、その好ましい状況を維持するのに役立つ

ルース・ザドクス (Ruth Zadoks) 教授

ルース・ザドクス教授は、薬剤耐性 (AMR) の地域専門家としてこの分野に大きな貢献をしている。最近では太平洋島嶼国向けの仮想トレーニング・セッションを行った。このセッションは「獣医学と人間の両分野を含む包括的な『ワンヘルス』アプローチにおけるAMR の予防と管理」と題され、欧州連合(EU)が資金提供する「トレーニングを進めて食の安全を高める」イニシアチブの一環として開催された。

これはオーストラリア、ニュージーランド、台湾、バヌアツ、サモア、フィジー、キリバスの専門家が参加した5 日間のワークショップだ。「地域の代表として貢献できたことは本当に価値がありました」とザドクス教授は話している。

(2022年11月09日公開)

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