2023年6月1日
若松 祐子
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO) グローバル・グロース部 シニアアドバイザー(日本・韓国・担当)
国際基督教大学(ICU)卒。日米両国で銀行、製造、技術移転、ベンチャーキャピタルでの役職を歴任し、2006年に経営幹部補佐としてCSIRO入り。2011年、アドバイザーとしてCSIROグローバルに加わり、世界市場におけるCSIROの研究連携を強化する戦略的取り組みの構築に取り組む。CSIROの研究チームと協力して、日本、韓国、および南北アメリカ市場での協力を強化。2021年以来、脱炭素化技術における共同作業を支援するために、日本と韓国でのより強力な関与を発展させることに注力。日本と中米で育ち、英語、日本語、スペイン語に堪能。オーストラリアのJapan BusinessWomen's Society委員。
参考:The original English text of this article: Australia and Japan solving the greatest challenges
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、オーストラリアの国家科学機関だ。 CSIROは100年以上にわたり、革新的な科学と技術を通じて影響を与えることで課題に対応してきた実績を築いてきた。CSIROの電波天文学における先駆的な研究は、ワイヤレス LAN (WLAN)、つまり高速Wi-Fiの発明につながった。その無数のアプリケーションは、私たちの日常生活や世界中でのテクノロジーの考え方と使用方法を根本的に変えた。
CSIROブラック・マウンテンのサイエンス・イノベーション・パーク
CSIROパークスの天文台の巨大なアンテナ
(提供:いずれもCSIRO)
CSIROは1980年代半ばから日本と協力してきた。二国間関係の主な焦点は、日本の大学、研究機関、民間企業と協力して、科学に影響を与えるプロジェクトを実現することだ。例えば次のようなプロジェクトがある。
今日、両国は脱炭素化と持続可能なエネルギーの確保において課題を共有しているため、日本との協力方法を強化するこれまでにない機会を迎えている。
ミッション志向の機関として、CSIROの研究はオーストラリアが直面している6つの重要課題に取り組んでいる。
これらの重要課題の解決を支援するために、CSIROは「ミッション」を開発し、活動を開始している。
これらは、研究機関、大学、産業界、政府、国際社会を結集して、プラスの利益につながる結果に向けて協力することにより、大きな多面的な問題に取り組むことを目的とした大胆なイニシアチブだ。CSIRO は、ミッションの共同作成に年間1億豪ドルを振り向けており、国内外の研究部門や業界の最も優秀な人材と協力している。これまでに、CSIRO は8つのミッションを立ち上げ、4億4,000万豪ドルの共同投資資金を活用して、立ち上げたミッション、60以上のコラボレーション、および 600近くのプロジェクトをサポートしている。
ミッションは、削減が最も困難なセクターの脱炭素化、プラスチック廃棄物の終結、干ばつの回復力の向上など、共通の関心事項について国際パートナーと具体的に協力するためのメカニズムを提供する。