2021年06月
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電界を利用した環境負荷の低い採鉱技術を開発 豪と欧州の研究チーム

オーストラリアの国立科学研究機関である連邦科学産業研究機構(CSIRO)は5月3日、西オーストラリア大学(UWA)、デンマーク工科大学、英エクセター大学の研究者と共同で、掘削に代わる新たな採鉱技術として、電界を利用して硬岩の鉱石から金属を抽出する方法を開発したことを発表した。

地下鉱体から金属を抽出するイメージ 提供:西オーストラリア大学

この技術は科学誌Science Advancesに発表された。鉱体に電極を挿入して電流を流し、電気を帯びた銅等の金属が鉱体内を移動する「エレクトロマイグレーション」という現象を起こすことで金属を抽出するという仕組みで、大量の廃棄物により地球環境への悪影響が懸念されている従来の掘削技術に比べ、廃棄物を劇的に削減することが期待されている。

研究室内での実験とコンピューターモデリングによる検証が行われ、緻密な岩石のサンプルから銅を抽出することに成功しており、研究チームは実地でも銅や他の金属の抽出に活用できると確信している。

UWAのヘニング・プロマー(Henning Prommer)教授によると、「鉱物の抽出に太陽光や風力等の断続的なエネルギー源を利用できる」点でも、環境負荷の軽減が期待できる技術となる。西オーストラリア鉱物研究所(Minerals Research Institute of Western Australia)の支援を受けてさらに改良が進められている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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