オーストラリア産業・科学・エネルギー資源省は6月8日、炭素回収技術の開発と地方の雇用創出を促進する6つのプロジェクトに、「炭素回収・利用・貯留開発ファンド(Carbon Capture, Use and Storage Development Fund)」より総額5,000万豪ドル(約40億円)の助成金が授与されることを発表した。低炭素化が困難な(hard-to-abate)産業の排出削減を前進させる取り組みとして期待されている。6つのプロジェクトは以下の通り。
- サントス(Santos Limited):液化天然ガス(LNG)プラントから排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、永久的に貯留。
- ミネラルカーボネーションインターナショナル(Mineral Carbonation International):CO2を回収して製造・建築材料の生産に利用するための実証プラントを建設。
- エナジーデベロップメンツ(Energy Developments Pty Ltd):ごみ埋立地でバイオメタンを生産する際に排出されるCO2を回収、利用。
- カーボントランスポートアンドストレージカンパニー(Carbon Transport and Storage Company):石炭火力発電所からのCO2の回収・貯留の実現可能性を検証し、地中貯留地を開発。
- ボラル(Boral Limited):炭素回収・利用のパイロットプロジェクトを通じ、再利用されるコンクリートや鉄鋼スラグの品質を改善。
- コーポレートカーボンアドバイザリー(Corporate Carbon Advisory Pty Ltd):大気中のCO2を直接回収(direct-air-capture: DAC)し、既存の圧入井を用いて地中に貯留する技術を実証。
炭素回収・貯留は排出削減に向けた政府の「技術投資ロードマップ(Technology Investment Roadmap)」で、5つの主要技術分野の1つとして位置付けられている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部