2021年08月
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次世代の水素発電・蓄電設備を開発へ 豪でスタートアップ企業設立

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は6月8日、水素を利用してクリーンでコスト効率の高い独立電源(off-grid)用電力の提供を目指すエネルギー貯蔵スタートアップ、エンドゥア(Endua)の設立を発表した。

設立にあたり、CSIROと同機構のディープテック投資ファンドであるメインシーケンス(Main Sequence)、オーストラリア最大の燃料ネットワーク企業アンポル(Ampol)が、500万豪ドル(約4億円)の出資と技術、専門知識等の支援を提供した。

現在の独立電源設備や地域コミュニティで電力源として利用されているディーゼルを燃料とする発電機は、稼働コストが高く、大気汚染や温室効果ガスの排出により環境に悪影響を与える。

そこでエンドゥアは、CSIROが開発した電解技術を用いて水素を生産し、クリーンな電力を発電、貯蔵するモジュール型設備「パワーバンク」の提供を計画している。1設備につき150 kWの負荷に対応し、ディーゼル発電機等の従来の化石燃料による発電源よりもコスト効率の高い方法で再生可能エネルギーを貯蔵、供給できる。

アンポルは業界や顧客に関する知識を提供し、技術の開発やテスト、商用化を支援する。同社の顧客基盤を活用し、まずは独立電源のディーゼル発電機市場をターゲットとした商用化を目指すという。

エンドゥアのCEO、ポール・セルニア(Paul Sernia)氏は、エネルギー転換における水素の活用には水素発電と蓄電のコスト効率を高める技術とビジネスモデルが必要であり、エンドゥアはこれを可能にすると語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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