オーストラリアの国立研究機関である連邦科学産業研究機構(CSIRO)は6月8日、新しく建設される発電設備のコストを比較した結果、電力系統への統合に関するコストを含めてもなお、同国では太陽光発電と風力発電が最も低コストであるとする調査結果を発表した。この結果は、CSIROが毎年発表しているエネルギーコストに関する報告書「GenCost Report」の2020~2021年度最終版に記載された。
今回の報告書では、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーのコストをより正確に分析するための新しい手法として、蓄電設備や送電設備の増強等、これらのエネルギーを電力系統に組み入れる際にかかる「統合(integration)」コストを含めてコストを算出した。
写真提供:CSIRO
CSIROのエネルギー担当主任エコノミストであるポール・グラハム(Paul Graham)氏によると、2020年12月に関係者向けに公開された草稿に対し、天候の変動性が統合コストに与える影響に関するフィードバックが寄せられたという。グラハム氏は、これに対応し、最終版では、毎年の天候の変動がエネルギーコストに及ぼす影響をより大きく反映し、また、関係者の意見に基づき、蓄電池の寿命の長期化や低コスト化による電力貯蔵のコスト低下も考慮に入れたとしている。
報告書では次のような結論が示された。
また、水素技術のコストは今後数十年のうちに大幅に下がると予想されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部