オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月21日、森林火災に対する基幹的通信インフラのレジリエンス(resilience:強靭性、回復力)向上に関する、通信事業者のオプタス(Optus)社との共同研究プロジェクトの成果を発表した。
この研究では、ネットワーク障害のリスクが存在する場所や、設備の改修により将来の森林火災に対する脆弱性を軽減できる場所を分析した。また、地形や燃料となる植物の量(fuel load)、植生、各地域の森林火災の深刻度に関するデータを使用して、基幹インフラのレジリエンスに関する意思決定を支援する地図を作成した。
この地図は、ドットの色の違いにより、オプタス社(豪ビクトリア州)のインフラが火災の脅威や建物の損失の可能性でどのように評価されているかを示す。(写真提供:オプタス社)
オプタス社は、推奨された被害軽減策を2カ所の通信設備(サイト)に導入しており、これを参考例としたより大規模なレジリエンスプログラムも計画している。また、従業員のトレーニングやサイト評価ツールも開発したという。
CSIROで森林火災適応に関する研究を主導するジャスティン・レナード(Justin Leonard)氏はこの研究について「通信、エネルギー、緊急サービス等の多数の業界のレジリエンスに関する意思決定に役立つ情報を提供する」ものであると説明した。
オプタス社のネットワーク担当マネージングディレクター、ランボ・カナガラトナム(Lambo Kanagaratnam)氏は、全国的な森林火災のハザード・リスク情報の構築に向けた通信インフラ関係者の取り組みに関し「人々が最も必要とするタイミングで確実にサービスを提供することに役立つ」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部