オーストラリアのシドニー大学は7月20日、同大学のベナム・アカバン(Behnam Akhavan)博士が、インジウムの代替としてエレクトロクロミック(electrochromic)技術に利用できるコーティング材を、プラズマ技術を用いて作製したと発表した。研究成果は科学誌 Solar Energy Materials and Solar Cells に掲載された。
この材料を用いることで、ボタンやタッチ一つでガラスの明るさや色調を変更できるエレクトロクロミック技術を、従来に比べ大幅に低コストかつ持続可能な方法で実現できる可能性がある。
層状のナノテクノロジー (提供:シドニー大学・アカバン博士)
従来の技術で広く用いられてきたインジウムは非常に希少かつ高価な金属であり、液晶ディスプレイ(LCD)やタッチスクリーン等の需要増大に伴い不足するおそれがある。今回の発明は、プラズマ技術を利用した低コストの方法でインジウムを代替することになり、アカバン博士は「製造業者の夢」を実現したと語る。
このコーティング材は酸化タングステンと銀を含む3層構造のナノ複合材料である。透明で導電性を持ち、軟質プラスチックを含むほぼあらゆる固体材料の表面をコーティングできる。アカバン博士は用途について、「少量の電流をかけることで、電子ペーパーやスマートフォン、ガラス窓等の明るさを調整できる」と説明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部