オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は8月13日、オーストラリアの二酸化炭素(CO2)回収・有効利用(carbon capture and utilisation: CCU)技術の発展に向けた「二酸化炭素有効利用ロードマップ(CO2 Utilisation Roadmap)」を発表した。
CCU技術は、産業廃棄物の処理過程で排出されるCO2や大気中のCO2を回収し、合成燃料、食品・飲料、化学製品、建築材料等の有用な製品に変換する。
このロードマップは新しい産業を支援し、CO2排出量を削減するためのオーストラリアにおけるCCU技術の活用方法を検討している。具体的にはCCU技術を用いた食品・飲料業界の成長機会の支援、CO2排出量がゼロまたは少ない建築材料の開発、低排出の化学製品や燃料の製造・輸出といった機会を提示している。
国内外の専門家の意見やモデリング、分析手法に基づき、オーストラリアのCCU技術活用に関し、各領域の規模拡大に向けた強み、障壁、考慮事項が示されている。
CSIROの戦略・経済アドバイザリー部門「CSIRO Futures」のヴィヴェク・スリニヴァサン(Vivek Srinivasan)氏は、オーストラリアの強みとして「CCU技術に必要な低コストかつ低排出の電力を導入できる能力や、国際競争力の高い輸出産業を創出している実績、低排出技術に関する二国間協定」を挙げ、CCU技術のリーダーになり得る立場にあると語る。
オーストラリアが推進する水素活用や排出削減に向けた取り組みを補う技術として、CCUの今後の発展が期待される。
二酸化炭素回収・有効利用(carbon capture and utilisation: CCU)技術のイメージ(写真提供:CSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部