2021年10月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2021年10月

合成生物学、大きな経済効果と雇用創出へ CSIROが予測

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、合成生物学(Synthetic biology)が2040年までに年間最大270億豪ドル(約2兆1000億円)の収益と4万4,000人の新規雇用を生み出す市場に成長する可能性があると予測する報告書を発表した。8月26日付。

報告書は『合成生物学の国家ロードマップ:オーストラリアの商業的・経済的機会の特定(A National Synthetic Biology Roadmap: Identifying commercial and economic opportunities for Australia)』というタイトル。それによると、合成生物学から特に大きな利益を得られる領域は食品・飲料(年間収益最大190億豪ドル)と健康・医療(最大70億豪ドル)である。

各分野で経済効果が期待されるオーストラリアの合成生物学

工学原理と遺伝学的技術を生物学に応用する合成生物学は、近年急速に関心を集めている学問分野である。オーストラリアは合成生物学の研究能力開発に8,000万豪ドル以上を投資している。

この報告書では、140名以上の関係者の意見に基づき、合成生物学の価値あるエコシステムの構築に向けた優先事項を設定している。これには、「研究の橋渡し(research translation)の支援」、「共有インフラの構築」、「外国企業や人材の誘致」、「基礎的エコシステムの実現手段(enabler)の強化」等の項目が含まれる。

CSIROの合成生物学部門を率いるクラウディア・ヴィッカース(Claudia Vickers)教授は「合成生物学は、農業や健康等に関する世界のさまざまな課題の克服に役立ち、持続可能な産業や雇用を創出することにより、オーストラリアの経済を変革することができる」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る