オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は安価な合金廃棄物を付加製造(additive manufacturing)向けの高価値なワイヤ製品へと変える新しい技術を開発した。9月2日に発表した。
この技術は、コンピューターモデリングを用いて最適化された押出成形(extrusion)プロセスにより、機械加工で発生する切り屑等のチタン合金微粒子からワイヤ材料を生産するという画期的なものだ。
廃棄物から高価値なワイヤ製品に生まれ変わる(写真提供:CSIRO/Nick Pitsas)
このワイヤは、航空宇宙機器の部品等を3Dプリンターで製造する際の材料として利用できる。CSIROのチームリーダー、ロバート・ウィルソン(Robert Wilson)博士は「従来のプロセスで製造されるチタン製ワイヤより大幅に安価だ」と語る。さらに、このワイヤからは3Dプリンティング用の金属粉末も生産できるという。
オーストラリアワイヤ産業協会(Australasian Wire Industry Association)の理事を務めるリチャード・ニュービギン(Richard Newbigin)氏は「オーストラリアの付加製造業者はチタンワイヤを海外から調達していたが、この新たな技術により状況が変わるだろう」と期待を寄せる。
このワイヤは航空宇宙業界の他、バイオメディカルや防衛、船舶等の、大型で複雑な部品の製造に用いられる。現在はパイロット規模で50キログラムのチタンワイヤが生産されているが、今後、商用化に向けて100~300キログラムまで生産規模を拡大する予定だという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部