オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月25日、鉱業研究機関のCRC OREとの共同プロジェクト「未来研究プログラム(Future Research Program)」を立ち上げ、選鉱技術等に関する共同研究を行うと発表した。
CRC OREは資源抽出の最適化を目的とした政府設立の共同研究センターである。このプログラムはCRC OREの基礎研究に基づき、選鉱工場での処理の前に鉱山で行う「予備選鉱(preconcentration)」技術の開発を目指す。
(写真提供:CRC Ore)
重点分野として、「粉砕回路への選択的破壊(Selective Breakage)原則の適用」、「給鉱(ore feed)の最適化による分離機の性能向上」、「エネルギー及び水の使用量を削減する抜本的変革」、「廃棄物の持続可能な管理方法の開発」等が挙げられている。
以前CRC OREで研究・イノベーション部長を務め、現在はCSIROで同プログラムを監督するポール・レヴェル(Paul Revell)氏は、この研究が成功すれば、予備選鉱を導入できる候補地が増え、鉱業界全体に大きな影響をもたらすと予想 。重要な目標として、「現在の技術では予備選鉱が困難だが、高価値なベースメタルや希少金属を高い割合で含む鉱染鉱床(disseminated ore)に予備選鉱を導入する技術の研究」 を掲げる。
レヴェル氏は、現在世界の直接エネルギー消費量の約3%を占める鉱業において、予備選鉱をより広範な資源基盤に導入できれば、環境面と経済面で大きな効果があるとみている。
同プログラムはまず3年間の予定で実施されるが、産業界の支援を受けて延長される可能性もある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部