2021年11月
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瞳孔に数を知覚するメカニズム発見 シドニー大学と伊大学

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は10月25日、同大学とイタリアのピサ大学(Universities of Pisa)、フィレンツェ大学(University of Florence)の研究者が、瞳孔に数を感知するメカニズムが備わっていることを発見したと発表した。研究成果は学術誌 Nature Communications に掲載された。

目の前の物の数を自然に知覚する能力は多くの動物に備わっており、進化において重要な役割を果たしている。今回の研究では、この能力と、生理反応である瞳孔の対光反射(pupil light reflex)の関連を調べた。

研究チームは、成人の参加者に、18個または24個の点を含む画像を見せる実験を行った。点はばらばらの場合と、ダンベルのような形になるよう2個ずつ線で結ばれている場合がある=下記イラスト参照。ダンベル型にすると、実際の数は変わらないにもかかわらず、錯覚により点の数が少なく見えることが知られている。参加者は、これらの画像を、数やその他の特性に特別な注意を払うことなく、受動的に観察する。

(提供:シドニー大学)

実験の結果、輝度を表す 白と黒の画素数は全ての画像で同じだったにもかかわらず、参加者の瞳孔の直径は、知覚した点の数が多いほど大きくなり、少ないほど小さくなった。

この結果により、「数に関する情報が、知覚と本質的に関連していることがわかり、 さらに算数障害の早期発見に役立つ可能性がある」とフィレンツ大学のエリザ・カスタルディ(Elisa Castaldi)博士は話す。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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