オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は11月10日、香港政府の国際共同研究プロジェクト「InnoHK」から1,700万香港ドルの出資を受け、データサイエンスと人工知能(AI)を活用して世界的な公衆衛生問題の解決策を探る国際共同研究の施設「シドニーハブ」を設立したと発表した。
この施設は、香港大学(University of Hong Kong)、シドニー大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)による公衆衛生改善に関する共同プロジェクト「Laboratory of Data Discovery for Health」の拠点にもなる。
シドニーハブを率いるシドニー大学のジーン・ヤン(Jean Yang)教授、スティーヴン・シンプソン(Stephen Simpson)教授、エディー・ホルムズ(Eddie Holmes)教授は、次のような研究に取り組む。
(左から)スティーヴン・シンプソン教授、ジーン・ヤン教授、エディー・ホルムズ教授 (写真提供:シドニー大学)
ヤン教授は、オミックス(Omics=ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等のバイオマーカー解析の総称)に基づき感染症のリスク予測を改善する方法を研究する。
シンプソン教授はヤン教授と連携し、オミックス科学の発見を健康転帰の改善に応用する方法を研究する。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含むウイルス研究で首相賞(Prime Minister's Prize for Science)を受賞した実績を持つホルムズ教授は、メタゲノミクス(1つの生体サンプル中であらゆる生物の遺伝物質を同時に解析するプロセス)の手法開発に関するプロジェクトに取り組む。この研究は、疾患の集団発生につながる体内の微生物に関するデータを測定、解析する技術の開発に役立つ可能性があるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部