オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)の研究者らは、地球に最も近い星系「ケンタウルス座アルファ星」(Alpha Centauri)に、生命が居住可能な惑星があるかどうかを調べるプロジェクト「TOLIMAN」を始動する。2021年11月17日に発表された。
同大学のピーター・タットヒル(Peter Tuthill)教授が主導し、地球外生命体の探索に関する総合プロジェクト「ブレイクスルー・イニシアチブ(Breakthrough Initiative)」、オーストラリアの宇宙工学企業セイバー・アストロノーティックス(Saber Astronautics)、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)と共同で実施する。
地球に最も近い星系「ケンタウルス座アルファ星」(Alpha Centauri) (写真提供: NASA)
これまで系外惑星(太陽系の外にある惑星)の探索には、NASAの宇宙望遠鏡「ケプラー(Kepler)」やトランジット惑星探索衛星「テス(TESS)」が使用されてきたが、地球に近い系外惑星を見つけるには、より精密に調整された観測機器が必要になる。
今回のプロジェクトでは、とらえた星の光を花のような形に拡散させることで、周回する惑星の存在を示す星の摂動(perturbance)を検出する「回折瞳レンズ(diffractive pupil lense)」 を用いた新しい宇宙望遠鏡を展開する。
タットヒル教授はこの望遠鏡について「複数の新技術を取り入れた革新的設計である」とし、「およそ5年以内に結果を出すことを目指し、機敏で低コストのミッションを計画している」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部