2022年02月
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がんの放射線治療研究で州政府から100万豪ドルの助成金獲得 豪ウーロンゴン大学

オーストラリアのウーロンゴン大学(University of Wollongong)は、がんの放射線治療に関する画期的な技術を開発している同大学の2名の研究者が、ニューサウスウェールズ州がん研究所(Cancer Institute NSW)のフェローシップを獲得したと発表した。2021年12月21日付。

2名の研究者は、医学放射線物理学センター(CMRP)のサリー・アルナギー(Saree Alnaghy)博士とリン・トラン(Linh Tran)博士で、同プログラムから3年間にわたり総額100万豪ドル(約8000万円)以上の助成金を受ける。

トラン博士は、周囲の正常な組織を傷つけず、腫瘍部位のみを集中的に治療できる新たな放射線治療「陽子線治療」(proton therapy)を研究している。同博士は、新たに開発したマイクロ線量計(microdosimeter)を用いて「正常組織への損傷を最小限に抑え、患者の転帰を最大限改善できる」と語る。

また、このマイクロ線量計は陽子線ビームの生体への影響を決定する「線エネルギー付与(linear energy transfer)」を測定できるため、「特に小児がんや脳腫瘍等、正常組織の損傷による副作用が大きな問題となる場合に有用になる」 と期待している。

アルナギー博士は、腫瘍や重要臓器等の軟部組織の構造をより正確に視覚化できる、放射線治療用の新たな画像化システムを開発している。同博士は「専用のスペクトル放射(spectral radiation)検出器を使用して体内を通過するX線のエネルギーを分析することで、軟部組織のコントラストを改善できると考えている」と語る。

画像技術の向上は、放射線治療における副作用の減少や治療効果の改善、正常組織の損傷の軽減などにつながる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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