オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)は1月11日、同大学の研究者がビクトリア州で発見した約4億年前の化石が、初期の陸上植物の進化に関する新たな手掛かりを示していると発表した。この研究に関する論文は同州の博物館運営組織「ミュージアムズ・ビクトリア(Museums Victoria)」が発行する学術誌 Memoirs of Museum Victoria に掲載された。
この植物は、掘地の先住民族であるタウンロン族(Taungurung)と、発見者の1人である古生物学者マイケル・ギャラット(Michael Garratt)博士にちなんで「タウンロンギア・ギャラッティ(Taungurungia garrattii) 」と名付けられた。今後はメルボルン博物館(Melbourne Museum)で保管される。
博士研究員のファーガス・マクスウィーニー(Fearghus McSweeney)氏とギャラット博士は2015年、セントラルビクトリア地方の町イア(Yea)近郊でこの化石を発見した。
マクスウィーニー氏はこのグループの植物について「非常にまれであり、中国以外での産出はこれが初めてとなる。このグループが広範に分布していた可能性もあるが、全く関係がなく、収斂進化を反映している可能性もある」と解説した。
クリーニング作業の結果、タウンロンギア・ギャラッティは光合成に特化した茎上の三角形の器官と、胞子嚢と考えられる大きく細長い突出部を持つことがわかった。こうした特徴は、日差しが強く、乾いた風が吹く陸上での生存と繁殖に不可欠であったと考えられている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部