2022年03月
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シリコンベースの量子プロセッサで99%以上の精度を達成 豪ニューサウスウェールズ大

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW Sydney)は1月20日、同大学の研究者らが、量子コンピューティングで誤りをほぼなくすことが可能であると証明し、現在の半導体技術で製造できるシリコンベースの量子デバイスの実現に向けた道を開いたと発表した。研究成果は科学誌 Nature に掲載され、表紙にも採用された。

UNSWのアンドレア・モレロ(Andrea Morello)教授は米国、日本、エジプト、シドニー工科大学(UTS)、メルボルン大学(University of Melbourne)の研究者と協力してこの研究に取り組んだ。

「今回の論文は、99%の確率で誤りのない操作ができることを示した。誤りがこれほど稀であれば、発生と同時に検出、修正できる。これは、実用的な計算を処理するのに十分な規模とパワーを持つ量子コンピューターを構築することが可能だということを示した」 とモレロ教授は胸を張る。

モレロ教授のチームは、1つの電子と2つのリン原子核で構成される3量子ビットシステムを用い、1量子ビット操作で99.95%、2量子ビット操作で99.37%の操作忠実度(operation fidelity) を達成した。モレロ教授らの論文と同日にNature誌に発表されたオランダの研究チームと日本の理化学研究所チームによる2本の論文も、それぞれシリコン量子コンピューティングで99%を超える精度を達成したことを報告している。

シリコンの半導体スピン量子ビットは、量子情報を長時間保持できる安定性を持ち、既存の先端半導体製造技術を利用できることから、信頼性の高い量子コンピューターの基盤として有望視されている。

モレロ博士は「これまでは量子論理操作を高精度で実行することが課題となっていた。今回発表された3本の論文はこの課題を克服する方法を示している 」とは話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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