オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は2月17日、医療テクノロジー企業のシンギュラー・ヘルス(Singular Health)と共同で、3Dプリントを活用して個人に合わせたストーマ(人工肛門・人工膀胱)用シールを作成できる技術を開発すると発表した。
CSIROとシンギュラー・ヘルス社は、このデバイスの開発と商用化に向け、非営利組織のInnovative Manufacturing Cooperative Research Centre(IMCRC) から10万豪ドル(約840万円)の資金を確保した。
プロジェクトの期間は9カ月を予定している。シンギュラー・ヘルス社の3D医用画像技術ソフトウェア「Scan to Surgery」にCSIROが開発したソフトウェアを統合し、患者のスキャンとシールのカスタマイズに必要な3D視覚化機能「surface scan to model」を追加する。
(提供:CSIRO)
この機能を用いて患者一人一人の形に合わせたストーマ用シールを設計・製造することで、市販品で起こりがちな問題の1つである漏れのリスクを大幅に軽減できる可能性がある。
シンギュラー・ヘルス社のCEO、トーマス・ハンリー(Thomas Hanly)氏は「現在、患者個人に合わせた医療機器の製造には時間もコストもかかる」と いい、今回のプロジェクトではこのワークフローを改善して処理時間を大幅に短縮し、スキャンから3Dプリントでシールを作成するまでを60分以下で完了できるようにするとしている。
CSIROのプロジェクトリーダーを務めるブー・グエン(Vu Nguyen)氏は、シンギュラー・ヘルス社との協力を通じて「CSIROは引き続き、デジタル医療のイノベーションで患者アウトカムを改善できることを証明する」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部