2022年04月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2022年04月

慢性腎臓病有病率、太平洋系住民に憂慮すべき高さ ニュージーランド・オタゴ大学

ニュージーランドのオタゴ大学(University of Otago)は3月14日、オークランドに住む太平洋系住民の慢性腎臓病(CKD)の有病率がこれまで考えられていたよりも、また欧州系住民と比較しても非常に高いという研究結果を紹介した。この研究の成果は学術誌 Nephrology に掲載されている。

同大学のマラマ・タフナイ(Malama Tafuna'i)博士が博士論文研究として行った調査により、CKDの検査を受けたサモア人7,451人のうち36%がCKDを有していることが明らかになった。

論文共著者のロブ・ウォーカー(Rob Walker)教授は、この割合はこれまで考えられていたよりもはるかに高く、懸念すべき結果であると述べた。

全標本集団2万5,127人のうち、欧州系住民のCKD有病率は7%であったのに対し、マオリ系の有病率は12%、太平洋系集団では平均18%であった。世界のCKD有病率は11%程度と推定されている。

検査を受けた人々における有病率は、欧州系で16%、マオリ系で24%、サモア系では前述のように36%と高かった。

ウォーカー教授は「サモア人のCKD有病率の高さは、糖尿病、肥満、高血圧等の関連する危険因子の保有率と同様に懸念すべきである。また、ニュージーランドの太平洋系住民や太平洋地域全体で生じつつある非感染性疾患の増加傾向を反映している」と指摘した。さらに、「有病率の高さに影響している要因は多数ある」とし、プライマリケアへの支援や、健康リテラシーの向上を含めた政府による対策の必要性を強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る