ニュージーランドのオークランド大学は3月10日、同大学の研究者らが、サメの睡眠を示す生理学的な指標を世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究の成果は学術誌 Biology Letters や Nature に掲載され、米 New York Times 紙など世界各国のメディアで取り上げられた。
同大学のクレーグ・ラドフォード(Craig Radford)博士はニュージーランドとオーストラリアの他の研究者と共に、ニュージーランドに生息する小型のトラザメの一種 であるカーペットシャーク(carpet shark:Cephaloscyllium isabellum)7匹を、酸素摂取量を測定できる専用の水槽で観察した。
カーペットシャーク (提供:Paul Caiger氏)
その結果、これらのカーペットシャークの睡眠は、横たわる姿勢、および代謝量の低下に関連することが分かった。一方で、目を閉じることは睡眠の明らかな指標にはならなかった。
カーペットシャークは目を開けて睡眠できるため、睡眠しているかどうかを知るためには、目を見るよりもその姿勢を見る必要がある。他の一部のサメは常に動いていないと死んでしまう種類もいるが、カーペットシャークは海底でじっとして休むことができるという。
研究者らは、睡眠が果たす役割については、他の動物と同様にエネルギーの節約ではないかと推察している。
研究者らは「サメは最も原始的な有顎脊椎動物(jawed vertebrate)のグループを代表する動物であるため、派生した動物の睡眠の進化を解明する手掛かりとなりうる」と、この研究の意義を語っている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部