オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、ビクトリア州のポートキャンベル国立公園で、コガタペンギン(little penguin)等の在来種の営巣地を脅かしている外来植物に対し、生物的防除法による除草活動を行うと発表した。3月24日付。
外来植物であるトウダイグサ科の 「sea spurge」は、コガタペンギンを含む海岸に生息する鳥類の営巣地を脅かし、海岸の生態系全体に影響を及ぼしている。CSIROの研究者らは、「Venturia paralias」という真菌がこの植物を特異的に攻撃することを発見した。これまでは手作業や化学薬剤の散布による除草が行われていた。
コガタペンギンの営巣地を脅かすsea spurge (提供:CSIRO)
CSIROは同州の公園管理団体パークスビクトリア(Parks Victoria)と共に、同公園の観光名所である「ロンドンブリッジ」からこの真菌を放出する。この公園には海岸から砂浜の巣に戻ってくるコガタペンギンを見るため、多くの観光客が訪れている。
CSIROの科学者ギャビン・ハンター(Gavin Hunter)博士によると、この植物は砂丘の構造を変化させ、植生を置き換えることで、巣を作る鳥たちに悪影響を与えるという 。ハンター博士は、「生物的防除剤の開発は、重労働で費用が高くつき、立ち入りにくい砂浜への適用が困難な既存の管理方法を補うために重要だ」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部