オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は5月31日、同大学の天文学者が率いる国際共同研究チームが、76秒間に1回という極めて遅い速度で自転しながら電波を発する中性子星を発見したと発表した。研究成果は学術誌 Nature Astronomy に掲載された。
この星(PSR J0901-4046」と命名)の特異な点は、通常パルス放射がみられない「中性子星の墓場」と呼ばれる場所に位置することである。南アフリカ共和国のミーアキャット(MeerKAT)望遠鏡を用いた観測プロジェクト「MeerTRAP」のチームがこの星を発見した。
この星は最初に1回のパルスから検出された。その後、8秒間の同時連続(simultaneous consecutive)画像を用いて複数回のパルスが確認され、位置が確認された。チームはこの星が、極めて強い磁場を持つ「超長周期マグネター(ultra-long period magnetar)」という理論上のクラスに属する可能性があると考えている。
マニシャ・セレブ博士 (提供:シドニー大学)
研究を率いたマニシャ・セレブ(Manisha Caleb)博士は、「この発生源からの電波は自転周期の0.5%でしか検出できない。電波ビームが地球と交差したことは非常に運がよかった 」と語り、「銀河にはこうした非常にゆっくりと自転する星がほかにも数多く存在する可能性がある」 と、さらなる発見への期待を表明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部