オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は5月26日、同大学の研究者らが、ハワイのキラウエア火山の誕生の引き金となった可能性のある現象を初めて解明したと発表した。研究成果は同日付で学術誌 Nature Communications に報告された。
ハワイ島南東部に位置するキラウエア火山はハワイで最も活発な火山の1つであり、21万~28万年前に誕生し、約10万年前に海面上に現れたと推定されている。
今回の研究は、キラウエア火山を含むハワイの火山が非常に深い(90 km超)マグマ溜まりで進化したマグマから生まれたことを初めて示した。
研究を率いたローラ・ミラー(Laura Miller)博士は、「キラウエアからの最初の火山噴出物の一部を入手し、これらのサンプルの組成を実験的手法を通じて探索した」と説明する。研究の結果、「これらのサンプルはざくろ石の結晶化と除去(分別結晶)によってのみ形成できることが分かった」という。
ミラー博士はこの研究について「前楯状(pre-shield)期のハワイのメルト(melt)形成における、ざくろ石の分別結晶の役割を明確に示した。これは分別結晶が浅部のみのプロセスであるという現在の見方に異論を唱え、深部のマグマ溜まりの発達が、ハワイの火山の誕生における重要な初期段階であることを示唆している」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部