オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、モナシュ大学(Monash University)が、古い太陽系の準惑星に由来するユレイライト隕石中に、六方晶系の構造を持つダイヤモンド「ロンズデーライト(lonsdaleite)」の存在が確認されたと発表した。9月13日付け。
CSIROやロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)との共同研究。研究成果は同日付けで学術誌 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS) に発表された。
ロンズデーライトは通常の立方晶系のダイヤモンドよりもはるかに強度と硬度が高いと考えられているが、その存在は論争の的となっていた。
この研究は、CSIROの電子プローブマイクロアナライザー(electron probe microanalyser)やRMITの高分解能透過電子顕微鏡(high-resolution transmission electron microscopy:TEM)を用いて、過去最大級(最大1ミクロン)のロンズデーライトの微結晶を同定し、自然界でロンズデーライトが形成された明確な証拠を示した。
これらのロンズデーライトは、準惑星の衝突後に惑星のマントル内で形成されたと考えられている。研究を率いたモナシュ大学の地質学者アンディ・トムキンズ(Andy Tomkins)教授は、「高温・中圧(moderate pressures)下での超臨界流体により、元々存在していたグラファイトの組織(textures)を完全に保ったままロンズデーライトが形成されたのではないか」と説明する。
これらの知見は、耐久性の高い機械部品の材料としてロンズデーライトを合成するための手がかりとなる可能性がある。CSIROの科学者コリン・マクレー(Colin MacRae)氏は、この発見は鉱業等の産業に大きな影響を及ぼす可能性があると語った。
CSIROの科学者コリン・マクレー(Colin MacRae)氏(左)ら
CSIROの電子プローブマイクロアナライザーで浮かび上がる、ロンズデーライト(黄色の部分)。鉄は赤、マグネシウムは緑、ケイ素は青、ダイヤモンドはピンクの部分
CSIROの科学者コリン・マクレー(Colin MacRae)氏(左)ら
(提供:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部