2022年11月
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宇宙人の巨大構造物か? 宇宙望遠鏡が撮影した不可解な星の画像の謎を解明 オーストラリア

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)の研究者らが、米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が今年7月に撮影した、「WR140」という連星系の不可解な画像について説明する2本の論文を発表した。10月13日付け。これらの論文は NatureNature Astronomy に掲載された。

JWSTの稼働開始直後に撮影されたこの画像では、1つの星の周りを、クモの巣のような同心円状の輪が取り囲んでいる。この画像は天文学者らを困惑させ、インターネットの一部では「宇宙人の巨大構造物でないか」といった議論も展開されていた。

WR140の生の3Dモデル (左) と処理済み画像 (右)
[Credit: Yinuo Han/Peter Tuthill/Ryan Lau]

しかし、今回の2本の論文により、この17個の輪の正体は、高温の連星の循環的相互作用(cyclic interaction)により生み出された、巨大な塵(ダスト)の外殻(dust shell)であることが説明された。

両論文の共同執筆者であるシドニー大学のピーター・タットヒル(Peter Tuthill)教授は、WR140について、「8年ごとに規則正しく煙の輪を吐き出しており、これが恒星風によって風船のように膨らむ。8年後にこの連星が軌道に戻ると別の輪が現れて、前の輪の内側に流れ込み、巨大なロシアの入れ子人形のような構造ができた」と解説する。

WR140 連星とその相互作用から同心円状のダストリングが発生している様子(左)
[Credit: Amanda Smith/IoA/ University of Cambridge]
Wolf-Rayet 星、O 型青色超巨星、および太陽の相対的なサイズ(右)
[Credit: NASA/JPL]
(提供:いずれもシドニー大学)

同教授とケンブリッジ大学のイヌオ・ハン(Yinuo Han)氏は、ほかの望遠鏡から収集された2006年以降のデータに基づき作成した3次元モデルを用いて、JWSTの画像を解説した。今後、JWSTによってWR140や同様の星系に関するより多くの情報が明らかになる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部