オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は、同センターに所属する研究者らが、機械学習を用いた正確な材料特性の予測を可能にする新たな記述子(descriptor)群を開発したと発表した。11月9日付け。この研究の成果は学術誌 Journal of Cheminformatics に掲載された。
(提供:豪政府)
従来、物質の挙動を予測するためのデータの生成には密度汎関数理論等の複雑な計算が必要であり、スーパーコンピューターを使用しても数時間から数日を要していた。機械学習モデルを用いることで、こうした作業をスーパーコンピューターなしでより迅速かつ低コストに行うことが可能になるが、それにはまず、物質の構造と関連する性質を対応付ける記述子が必要である。
オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)のシェリフ・アブドゥルカデル・タウフィク・アッバス(Sherif Abdulkader Tawfik Abbas)博士らが開発した「ROSA」(robust one-shot ab initio)は、物質のエネルギー的性質を用いて生成される。ROSAを機械学習モデルの訓練に使用したところ、結晶の特徴や金属有機構造体(metal-organic framework)、分子に関する正確な予測が得られた。
同博士は、ROSAはソーラーエネルギー、触媒、半導体素子を含む幅広い分野の化学者・材料科学研究者にとって有用になると考えている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部