オーストラリアのシドニー大学の天体物理学者が率いる科学者国際チームは、アンドロメダ銀河が断続的に大規模な捕食を行い成長する共食い銀河であるという証拠を発見した。2022年11月16日付け。
この研究はプレプリントサーバーであるarXivで閲覧可能だ。2人の優秀な学生の予期せぬ発見が、この研究の土台の一部となった。
主執筆者であるシドニー大学のゲラント・ルイス (Geraint Lewis) 教授は「数年前、私たちはアンドロメダ銀河の周辺を回る物体の中に、アンドロメダ銀河は徐々に捕食したのではなく、2つの異なる時期に大量に捕食したという徴候を発見しました」と語る。「この新しい発見から、私たちの局所宇宙がどのように集まったのかもっとはっきりと分かるようになりました。少なくとも大きな銀河の1つで、小さな銀河が時をおいて捕食されていたことを示しています」
この研究結果は、アンドロメダ銀河外に起源を持ち球状星団として知られる複数の星の構造の発見に基づいている。ルイス教授は、これをウェールズ語で黒い流れを意味するデュレ構造と名付けた。
アンドロメダ銀河内のデュレ構造の動きを描いた図
(クレジット: ゲラント・ルイス教授)
デュレ構造は銀河がより小さな銀河を「食べる」ことによって成長するという証拠を示すものだ。「実際は何を食べたのか、という次の疑問につながります。食べたものは一つだけではないようなのです。すべてのものがゆっくりと引き裂かれ、それらがまとまって食べられたようなのです」とルイス教授は述べる。「数十年もかかったのですが、やっと、銀河は小さな銀河を食べて成長していることに気づきました。小さな銀河が入り込み、食べられてしまうのです。これは銀河の共食いです」
アンドロメダ座に散らばるデュレ構造の球状星団を描いた図
(クレジット: ゲラント・ルイス教授)
デュレ構造に関する最初の結果を出したのは、データを調査した2人の優秀な学生であった。シドニー大学のティム・アダムス (Tim Adams) 氏とオークランド大学のユアン・リー (Yuan Li) 氏は銀河の渦巻きの残骸の証拠を発見し、それがルイス教授を驚かせた。
「彼らのすばらしい研究から、何かが起こったというヒントを得ました」とルイス教授は述べた。「結果がどのようなものかはほぼ分かっていても、2人がやって来て『この徴候を調べ続けていたのですが、少し奇妙です』と言ったときは、実に興奮しました」
「新しい扉が開かれ、理解できたのです。しかし、それは、私たちにはまだまだ調べて解決しなければならないことがある、ということを教えてくれたと思います」