オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は、同大学の研究チームが、タコが泥や貝殻、藻を「投げる」様子を観察したと発表した。同大学歴史学・哲学部(School of History and Philosophy of Science)のピーター・ゴドフリー=スミス(Peter Godfrey-Smith)教授らによる研究成果であり、論文は学術誌 PLOS ONE に掲載された。
カメラに捉えられた、タコが物を投げる場面 (© : Peter Godfrey-Smith et al)
ゴドフリー=スミス教授らは、2015~16年に豪ニューサウスウェールズ州ジャービス湾(Jervis Bay)に設置した固定カメラで、20時間以上にわたり10匹ほどのタコを撮影した。
この映像を解析したところ、タコが泥や貝殻を腕の中にかき集め、頭の横にある漏斗(siphon)を用いて吹き飛ばす、すなわち「投げる」行動がみられた。タコはほかのタコやカメラに向かって物を投げることもあった。また、概して雌の方が雄よりもこの行動をとる割合が多かった。
タコが沈泥、貝殻、藻類を投げつける様子を描いた図 (© : Peter Godfrey-Smith et al) (提供:いずれもシドニー大学)
この行動の理由についてゴドフリー=スミス教授は、この海域のタコは非常に密集して生息していることから、「標的に向けた投げの多くは『パーソナルスペース』を確保するために行っているのではないかと推測するが、その目的を知ることは非常に難しい」と語った。 また、研究チームは、タコの体色と投げる勢いの間に関連があることも発見した。
2022年11月10日付け発表。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部