2023年01月
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非放射減衰経路の計算に用いる密度汎関数をベンチマーク オーストラリア

オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は、同センターの研究者らが、励起状態間の非放射減衰(non-radiative decay)経路のマッピングに用いる密度汎関数に関する初めてのベンチマーク研究を行ったと発表した。

(提供:ARC Centre of Excellence in Exciton Science)

非放射減衰経路は、太陽電池等の光子捕集(photon-harvesting)装置の効率性に影響する光活性分子の励起状態ダイナミクスにおいて重要な役割を果たす。これらの経路の多くは理解が進んでいるが、同じスピンの非放射減衰速度(non-radiative rates)に対するさまざまな密度汎関数の適用可能性やその正確性は明らかにされていなかった。

今回、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)やメルボルン大学(University of Melbourne)の研究者から成る研究チームは、非放射減衰経路の計算に用いる密度汎関数の正確性を包括的に調査し、実験データを高い忠実度で再現できる処理を複数発見した。

筆頭著者のアンジャイ・マニアン(Anjay Manian)博士(ロイヤルメルボルン工科大学)は「この研究はこの理論的アプローチを用いる際のあらゆるポイントを網羅している。完全に第一原理から出発し、エネルギーや結合を構築してから、光子捕集等の重要なパラメーターとなるフォトルミネッセンス量子収率を実際に計算する」と語った。

今後、これらの手法を用いて、分子の高励起(high-lying)状態から生じる同様の過程を解明できる可能性がある。

2022年12月16日付け発表。研究成果は学術誌 Journal of Chemical Theory and Computation に掲載された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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