2023年02月
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超新星画像の存在を示す天の川銀河の詳細な電波画像生成 豪州・伊の研究チーム

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1月17日、オーストラリアのマッコーリー大学(Macquarie University)とイタリアの国立天体物理学研究所(INAF)の研究者らが、CSIROの電波望遠鏡を用いた観測により、天の川銀河の超新星画像残骸(supernova remnant)をこれまでで最も詳細に捉えた電波画像を生成したと発表した。

研究者らは、CSIROが所有・運用する2つの電波望遠鏡「ASKAP」と「Murriyang」を用いた観測プロジェクト「PEGASUS」と「EMU」の一環として、天の川銀河の銀河面(galactic plane)の大きな領域を観測した。今回の画像は、これらのサーベイにより得られたデータを結合した画像として初めて発表された。

天の川銀河には現在観測されているよりもはるかに多数の超新星残骸が存在すると推定されているが、これらを検出できる感度を持つ望遠鏡は実現されていなかった。

EMUプロジェクトの主任科学者であるマッコーリー大学のアンドリュー・ホプキンズ(Andrew Hopkins)教授は、「この新しい画像は、電波望遠鏡でしか見られない天の川のある領域をはっきりと示している。この領域で以前に発見された超新星残骸は7個のみであったが、今回の画像により、超新星残骸の可能性がある存在が20個以上発見された」と語った。

また同教授は、「最終的には、今回の画像の100倍の大きさで、天の川のほぼ全体を捉える前例のない画像が得られる」と期待を述べている。

ASKAP電波望遠鏡が捉えた銀河面の一部。多くの超新星残骸が見られる
© R. Kothes (NRC) and the EMU and POSSUM teams

ASKAP電波望遠鏡とパークス電波望遠鏡Murriyangで見た銀河面の一部。超新星の残骸と星の間の空間を示している
© R. Kothes (NRC) and the PEGASUS team

パークス電波望遠鏡Murriyangで見た銀河面の一部。星の間の塵を示している
© E. Carretti (INAF) and the PEGASUS team

パークス電波望遠鏡Murriyang
© CSIRO

ASKAP電波望遠鏡のディッシュ
© CSIRO
(提供:いずれもCSIRO)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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