(提供:ARC Centre of Excellence in Exciton Science)
オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は3月2日、同センターに所属するロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)とオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者らが、太陽光発電において金属ナノ結晶からエネルギーを効率的に抽出する技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌 ACS Nano に掲載された。
研究チームは棒状の金ナノ粒子(ナノロッド)とセレン化カドミウムのチップで構成されるナノメートルサイズの「マッチ棒」を作成した。金属部分により光が捕集され、チップとの相互作用によって電荷が蓄積される。チームはこの構造により最大45%の電荷抽出効率を達成できる可能性があることを実証した。
チームは電子エネルギー損失分光(EELS)を用いて金属-半導体システムの構造と機能との関係を研究することにより、これまで報告されたなかで最高レベルのプラズモンによるホットキャリア生成(plasmonic hot carrier generation)を実現する方法を発見した。
この研究成果は太陽光発電や光触媒反応、光エレクトロニクスに利益をもたらし、太陽光発電を用いた水素製造等の重要な産業分野に応用できると期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部