オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は3月10日、同大学の研究者らが、腸内細菌の代謝物が脳に到達して神経伝達物質の働きに影響を及ぼすことを証明したと発表した。研究成果は学術誌 Frontiers in Nutrition に掲載された。
腸内細菌によるアミノ酸の代謝により産生される代謝物は、血流を通じて全身に影響を及ぼす可能性があると考えられている。今回、研究チームは放射性同位体を用いた標識により、ブタモデル中の特定の栄養素の生体内分布を検証した。
同大学化学科(School of Chemistry)のルイーズ・ベネット(Louise Bennett)教授は、「我々の研究は、腸で発酵されたタンパク質の代謝物と、チロシン等のアミノ酸が脳に到達する能力を持ち、気分を含む脳の機能に影響を及ぼしうることを見出した」と説明する。
チームはさらに、レジスタントプロテインを食事から大量に摂取すると、毒性となりうる代謝物の産生が促され、脳による神経伝達物質の利用(availability)が妨げられる可能性があることを示した。
ベネット教授は「この研究は食事摂取、腸内細菌叢、脳をつなぐ段階的な経路を初めて証明した」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部