オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月29日、同機構とクイーンズランド大学(University of Queensland)の研究者らが、豪州のアボカド輸出産業とバイオセキュリティに大きな影響を及ぼす病原体「アボカドサンブロッチ(avocado sunblotch)ウイロイド」の調査にミツバチが有用であることを証明したことを発表した。この研究の成果は学術誌Phytopathologyのオンライン版で掲載された。
ミツバチは、オーストラリアの貴重なアボカド作物に輸出の障壁となり得る病原体がないことを証明するのに役立つ
クイーンズランド大学のアンドリュー・ギアリング(Andrew Geering)博士は、アボカドサンブロッチをモニタリングすることは、収益の大きなアボカドの海外市場を守るために重要であると語る。「この病原体はアボカドの収穫量を約80%低下させる可能性がある。現在は根絶に近づいているものの、いまだに感染が散見され、豪州の貿易相手国に懸念をもたらしている」と同博士は説明する。
収穫量を改善する通常の農業慣行として、ミツバチを持ち込んで木に受粉させる
研究チームは、ミツバチの健康とバイオセキュリティを研究するCSIROのジョン・ロバーツ(John Roberts)博士が開発した手法に基づき、花粉交配用のミツバチを利用してアボカドの木から効率的にサンプルを収集できることを実証した。
ミツバチの害虫と病気に取り組むジョン・ロバーツ博士
© CSIRO, Bradley Cummings
(出典:いずれもCSIRO)
「ミツバチが花粉を巣に持ち帰ってサンプル収集を完了してくれるので、我々はその花粉を検査するだけで済む。人間がはしごや高所作業機を用いて葉を集めるよりもはるかによい」とギアリング博士は語る。同博士はこの調査方法をより広範囲に導入することを計画している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部