地質工学を専門とする多国籍企業フグロ(Fugro)がオーストラリアの西オーストラリア州パースで、宇宙空間を含む過酷な環境での遠隔操作・ロボット制御に関する複合研究施設「Australian Space Automation, AI and Robotics Control Complex (SpAARC)」を運営している。7月3日付け発表。
サミュエル・フォーブス(Samuel Forbes)氏(左)ら(Image: Fugro Australia)
この施設は2022年11月、フグロ社、豪宇宙庁(Australian Space Agency)、西オーストラリア州政府の共同事業として、宇宙庁の「宇宙インフラストラクチャ基金(Space Infrastructure Fund)」から450万豪ドルの助成金を得て設立された。海洋資源探索等にロボティクスを利用してきたフグロ社の経験を活かし、宇宙でのロボティクスシステムの遠隔操作や、時間遅れ(time delay)を考慮した探査システムのソフトウェアシミュレーションに対応し、将来の月面ミッションにおいて重要な技術の開発を支援する。さらに地域のロボティクス企業と連携し、衛星制御システムを用いた遠隔ロボティクスの利用方法を実証している。
複合研究施設SpAARCの内部(Image: Fugro Australia)
(出典:いずれも豪政府)
フグロ社が参加する共同事業「Australian Remote Operations for Space and Earth(AROSE)」は遠隔操作技術を対象とした豪政府の助成プログラム「Moon to Mars Trailblazer」第1ステージの助成対象に選出され、米航空宇宙局(NASA)の月面探査プログラムで使用される半自律月面探査車(rover)の国内開発を計画している。「このミッションは宇宙における遠隔ロボティクス制御の物語の新たな形成に向けた大胆な試みであり、SpAARCはその基礎的な部分を担っている」とSpAARCの所長でフグロ社のサミュエル・フォーブス(Samuel Forbes)氏は語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部