オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月6日、インド太平洋地域の廃プラスチックごみ削減に向けたイノベーションを支援する同機構の取り組み「インド太平洋プラスチックイノベーションネットワーク(Indo-Pacific Plastics Innovation Network:IPPIN)」の成果を公開した。
IPPINは、プラスチック問題を有益で持続可能な解決策へと転換しようとする同地域の起業家を対象に研究資金やアクセラレーションプログラムを提供している。これまで以下のような企業や組織がIPPINを通じて目覚ましい成果を挙げている。
1. インドネシアのジオトラッシュマネジメント(Geo Trash Management:GTM):
豪州のプロセスエンジニアリング業界と協力して、インドネシア初の商用プラスチック油蒸留プラントを設計し、試運転を行っている。IPPINのプロジェクト期間終了までに、年間200トン以上の廃プラスチックを処理する実証施設の稼働を目指している。
IPPIN のイノベーション プログラムに参加したGTM のチームは、高度なリサイクル技術を通じて、これまでリサイクルできなかった廃プラスチックやゴムをリサイクルする方法を見つけている
2. インドネシアのグリーンホープ(Greenhope):
キャッサバのデンプンを原料とする商用グレードの生分解性プラスチックを開発している。IPPINを通じてホテル、飲食業界、Eコマース・物流、農業等の業界を中心に普及に努め、政府機関や産業リーダーとも提携している。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(中央)にキャッサバ由来の生分解性パッケージを説明するグリーンホープ(Greenhope)のメンバーら
3. CSIRO、モナシュ大学(Monash University)、インドネシア大学(Universitas Indonesia)、パジャジャラン大学(Universitas Padjadjaran)による共同プログラム「Citarum Action Research Program」:
インドネシア・西ジャワ州のチタルム(Citarum)川の汚染問題の改善に向け、州政府と共同で廃プラスチックごみ回収のパイロット施設の建設計画を進めている。最近、州政府との間でチタルム川に流れこむ廃プラスチックをゼロにすることを目指す了解覚書(MoU)を締結した。
「Citarum Action Research Program」は、廃棄物のリサイクル、再製造、再利用を行う循環型ソリューションへの移行を推進する学際的なプログラムという
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部