2023年08月
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豪、身体に触れずに呼吸をモニターできるシステム開発―オオヒキガエルの呼吸も遠隔で検出«動画あり»

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)ナノ研究所(Sydney Nano)と物理学部(School of Physics)の科学者らが、身体に接触せずに高い精度でバイタルサインを検出できる画期的なフォトニック(photonic)レーダーを開発した。6月30日付け発表。研究成果は同日付けで学術誌Nature Photonicsに掲載された。

バイタルサインのモニタリングは、集中治療室(ICU)や高齢者施設等の臨床環境や、眠気が事故につながりうる状況での安全管理等、様々な場面で必要とされている。しかし、従来の接触式の測定システムは火傷を負った患者や皮膚の面積が少ない乳幼児への使用が難しく、交叉汚染等のリスクもある。カメラを用いた非接触式のモニタリング技術も登場しているが、照明や肌の色の影響を受けやすく、患者の画像を保存することによるプライバシーの問題もあった。

筆頭著者のジーチェン・チャン(Ziqian Zhang)氏(右)と指導教授
(Photo: Stefanie Zingsheim)

今回、研究者らは、広域の無線周波(RF)信号を用いて複数の対象を高精度に同時追跡できるフォトニックレーダーとLiDAR技術を組み合わせることで、これらの問題を克服するハイブリッドシステムを開発した。このシステムは非接触式かつ高解像度での検出が可能で、画像を記録する必要がないためプライバシー侵害のリスクも軽減できる。

フォトニックレーダーを使用してオオヒキガエルの呼吸をモニターする実験
(出典:いずれもシドニー大学)

研究者らはこのシステムを用いて、遠隔からオオヒキガエル(cane toad)の呼吸パターンにおけるポーズ(pause)を正確に検出することに成功し、人間の呼吸をシミュレーションするデバイスでもこのシステムを使用した。

また研究者らは、この研究が、病院や犯罪者矯正施設(corrective services)で使用されるコスト効果の高い高性能なバイタルサインモニタリングシステムの開発につながることに期待している。筆頭著者である博士課程学生のジーチェン・チャン(Ziqian Zhang)氏は「次のステップとしてこのシステムを小型化し、携帯式デバイスで使用できるフォトニックチップに統合することを計画している」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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