オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月14日、豪州のエネルギー転換に向けた同機構の研究プログラム「グローバル電力システム変換(Global Power System Transformation:G-PST)研究ロードマップ」の中間報告書「G-PST第2段階(Stage 2)サマリーレポート」を公開したと発表した。
電気自動車(EV)の充電インフラとEVによってもたらされる複雑さについては、EV が配電ネットワークの負荷の大幅な増加を促進すると予想されるため、さらなるテストが必要という
CSIROとオーストラリアエネルギー市場運営者(AEMO)が2023年に開始したG-PST研究ロードマップは、豪州で再生可能エネルギー発電や分散型エネルギー源(distributed energy resources)の導入が急速に拡大していることを受け、安定したエネルギー供給の確保に向け、インバーターの設計、新たな制御室技術、系統の安定性等9つの領域に関する研究計画を提示した。
今回の報告書では、各研究領域に関する現在までの研究成果やまだ明らかになっていない点(knowledge gap)、短期的な優先課題等を示している。重点的に研究されている領域の1つが、豪州での太陽光発電の急速な拡大が電力系統に及ぼす影響であり、これにはインバーター技術や制御可能性(dispatchability)、系統安定性等の研究が含まれる。また、停電発生時のブラックスタート機能も関心の高い研究領域となっている。
G-PSTの研究期間は3~5年間と見込まれているが、参加機関は毎年ロードマップを見直し、状況の変化に応じて方向性を決定するという。
電力システムへの再生可能エネルギーの増加は、供給可能性の問題を軽減するために貯蔵容量の拡大によって補完する必要がある
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部