2023年09月
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持続可能な航空燃料の国内生産に向けた十分な原料―豪州、ロードマップ公表«動画あり»

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は8月10日、ボーイング・オーストラリア(Boeing Australia)と共同で作成した「持続可能な航空燃料(SAF)に関するロードマップ(Sustainable Aviation Fuel Roadmap)」を発表した。

このロードマップはSAFのバリューチェーンに関わる豪州内外の40以上の組織との協議に基づき、豪州のSAF業界の構築に向けた重要な機会を明らかにし、経済・規制・技術面での障壁を克服するための推奨事項を提示するものだ。

オーストラリアの各州と準州には、それぞれ独自の原料の利点がある

同書によると、豪州は、気候や農業慣行、サプライチェーン等の面で、SAFの多様な有機原料(サトウキビ、製材残材、都市廃棄物、油糧種子、廃食用油等)の開発に適した状況が十分に整っている。さらに、水素産業の成長に伴い、水素も重要な国内産原料として利用できるようになると考えられる。2025年には国内で約50億リットルのSAFを生産できるだけの原料が存在すると推定されている。

予測される原料源からの燃料生産の可能性。原料と技術を組み合わせることで、地元の原料はオーストラリアのジェット燃料需要の大部分に応えることができる
(出典:いずれもCSIRO)

「重要な知見として、原料と技術を組み合わせることで、豪州の航空燃料需要の大きな割合を賄えるようになることがわかった」と、筆頭筆者であるCSIROのマックス・テミンゴフ(Max Temminghoff)氏は語る。

CSIROは、このロードマップは、同機構が西オーストラリア州パースとクイーンズランド州の拠点で行っているSAFの研究を補完するものになるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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