2023年10月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2023年10月

粘土の分析で探鉱の精度を向上へ 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者が、カオリナイト粘土(kaolinte clay)の超微小粒子を分析することにより、貴金属や重要鉱物をより高精度に検出する方法を開発した。9月29日付発表。

ライアン・ノーブル博士は、金や重要な鉱物を探す際には、カオリナイトの肌を柔らかくする特性と超微細な性質の分析を推奨する

西オーストラリア州の壁に露出した白いカオリナイト
(出典:いずれもCSIRO)

豪州大陸は、「レゴリス(regolith)」と呼ばれる風化した岩石や砂、粘土で表面を厚く覆われているため、その下にどのような鉱石が存在するのかを検出することが困難になっている。

探鉱技術の専門家であるCSIROのライアン・ノーブル(Ryan Noble)博士は、岩石の風化により生成される鉱物カオリナイトの持つ吸着能力に着目した。カオリナイトは豪州で最もよくみられる粘土鉱物であり、陶器や化粧品の材料としても利用されている。

ノーブル博士は、「カオリナイトの超微小粒子は、環境から金属を吸着する比較的大きな表面を持ち、金やニッケル、白金などの金属を捕捉する。これらの超微小粒子を実験室で分析し、対象の金属を探すことができる」と解説する。

同博士らが開発に携わったUltraFine+®法は、運搬物による被覆層(transported cover)で覆われた地域に存在する金属の探査において、従来の土壌サンプリング方法よりも信頼性と感度を向上させることに成功した。この方法の大きな利点は、高精度な探査により掘削による環境負荷を軽減できることであると考えられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る