2023年11月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2023年11月

銅の発見率向上のアプローチ「鉱物システム」に期待 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、クリーンエネルギー社会における銅の重要性と銅鉱床の発見に向けた研究で以下のような見解を公開した。10月26日付。

天然の銅鉱物
© Ra'ike CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

銅は人間が使用した初めての金属であり、最もコスト効果の高い電気伝導体である。銅は現在、風力・太陽光発電技術、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)等のクリーンエネルギー技術の重要な原料として使用されており、これらの技術は非再生可能エネルギーの5倍の銅を必要とする。銅は100%リサイクル可能であるが、急増する需要を満たすには、新たな鉱床を発見する必要がある。

オーストラリアで発見された黄銅鉱(中央)
© Susanne Schmid
(出典:いずれもCSIRO)

CSIROの鉱物発見チームのスザンヌ・シュミット(Susanne Schmid)博士は、「世界の銅生産の20%を占める」という堆積盆地(sedimentary basins)での鉱床探査を専門に研究している。同博士は、調査の対象地域を特定するために、鉱床の形成と保存を制御する地質的プロセスの把握に基づく「鉱物システム(mineral systems)」というアプローチを使用している。博士は「このアプローチを用いて、金属の濃縮(enrichment)が発生するのに最も適した地域や条件を見つけ出すことができる」と語る。このアプローチは、探査のリスクを軽減し、発見率を向上させ、新たな銅鉱床に照準を定めることを可能にする。

シュミット博士らが取り組んでいる変革は、数千年前から利用されてきた鉱物を用いて、持続可能な未来を実現するための基盤になると期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る